チョイスとニーズ –人間を制度に合わせるのではなく、人間に合わせた制度をつくろう

20210417の記事アイキャッチ 雑記

日本でも多様性(diversity)という言葉が、少しずつ語られるようになってきたと思いますが、日本の社会は相変わらず画一的な制度に人間を合わせる圧力の方が圧倒的に高いように感じます。

「ブラック校則をなくそう!」プロジェクト
子どもたちのためにならない校則は廃止してください ​健全育成と将来の可能性を伸ばすために

学校制度はそれを端的に示す良い例で、頭髪の色、服装、化粧やアクセサリー、男女交際…と子供の人権を無視する理不尽な校則のオンパレードですが、最近はブラック校則などと呼ばれて社会問題としてクローズアップされるようになってきました。

ただ、これらをすべて学校や教師側の責任として捉えてしまうと問題を見誤ってしまいます。これらの理不尽な校則の多くは、実は保護者に支持されていたり、社会通念的にも好ましいこととされていたりします。

保護者や社会一般の人たちの多くは、子供たちが髪の毛を染めたり、流行りの服や化粧で自己を表現し、思春期の人間にとって自然で人間的な行動である恋愛をすることまで、子供たちの「乱れ」とみなしています。そしてそれらを悪いこととして規定し、規制することが正しいことであると考えているのです。

学校は、風紀や秩序の「乱れ」をとても恐れている。コロナ禍で校則がゆるくなり、はたして子供は乱れ、学校は荒れ放題となってしまっただろうか。

 私の目には、子供の生活がカラフルにそして多様になっただけのように見える。実際に現場からは、「マスクどころか服装を自由にしても、何も起きなかった」という声も、私の元に届いている。私たちが恐れていた子供の「乱れ」とは、ただの「多様性」だったのではないか。

引用:理不尽な校則 なぜ変わらないのか ――コロナ禍の校則緩和から「学校依存社会」を読み解く(Yahooニュース)

社会にはびこるこの「乱れ」に対する恐れと憎悪こそが、日本の画一的な制度を保存し、子供の「多様性」を奪っているのではないでしょうか。

チョイスと個人のニーズへの対応

(コロナ禍でのアメリカでは ※筆者補足)……あらゆる場面で個人のニーズに対応するための選択の余地(チョイス)が与えられています。まず、子どもが登校するかしないかは、各家庭のチョイスです。子どもが学校に通うことに抵抗のある家庭、年配の方がいる、または喘息など持病のある生徒に配慮した形です。……(中略)……遠隔学習を選んだ家庭に理由をきいてみると、自由時間を活用してやりたいことをさせたい、本人の希望によるなど様々でしたが、とにかく感染リスクを避けたいという家庭が多いようでした。選んだ後も状況や気が変わった場合には選択を変更できるというところが、チョイスと柔軟性を重視するアメリカらしいところでしょう。

引用:コロナ禍のアメリカの教育~個人のニーズへの対応と教育格差(CRN 子どもは未来である)

アメリカでは、制度の中にに「チョイス」を用意することによって、子供たちの多様なあり方に応えていく姿勢があるようです。

このアメリカの事例が唯一のアンサーで素晴らしいものだと言いたいわけではないです。

人間とは多様な生きものであるという認識を受け入れ、それに応じて制度を変えていくといったアメリカの制度に対する柔軟性という点が、日本社会にもっとも足りていない点だと感じたので取り上げています。

日本の学校制度が孕んでいる問題は、髪型や服装のブラック規則といった話だけではなく、いじめや人間関係で学校に出席することができなかったり、親の介護や貧困といった家庭環境が理由で学校に通い続けることができない子供たち、発達障害グレーゾーンと呼ばれて既存の学校制度だと問題児だと片付けられてしまう状況に苦しんでいる子供たちに対してどのように対応していくのかといった、簡単には答えの出ない難しい問題をたくさん抱えています。

そういった諸問題に対して、教育に関わる人々が日々試行錯誤をしながら、色々と努力をされていることは重々承知の上で、一つ提案をさせて頂くとすれば、リモート授業を推進して出席できない事情を抱える子供たちの「ニーズ」に応えていくといったことを一例に、日本の学校制度の中にもできる限り多くの「チョイス」を用意して子供の多様性に合わせた制度の再設計をして頂きたいです。

子供がこの国の、ひいては世界の未来だとするならば、何よりも優先してこの問題に取り組むのが、世界の大人たちの義務だと思っています。

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