差別は加速する –米国で急増しているアジア系ヘイトクライム

20210331の記事アイキャッチ 差別

新型コロナウィルスが感染拡大する中、トランプ元米国大統領が発生源とされる中国を批難して、「武漢ウィルス」や「チャイニーズウィルス」という言葉を発し続けたことで、中国人、アジア人全体に対するヘイトクライムが激増した。

日本人も追いかけられ唾かけられる。アメリカで広がる「アジア系差別」があぶりだしたもの
「チャイニーズウイルス」と大統領が放つアメリカでは、中国人に限らず日本人も嫌がらせを受けている。コロナウイルスによってあぶり出された根深い差別意識。

このアジア系ヘイトクライムはトランプ氏の犬笛によって唐突に発生したわけではなく、米国に古くから内在している。

ここで問題にしたいのは、こういった差別・偏見の起源ではない。
トランプ氏のような国家の指導的な立場にいる人間の差別を肯定するこのような行為が、普段は人目をはばかっていた差別主義者たちに市民権を与えてしまったことだ。

抑圧されいてた差別的な感情はSNSなどを通じて世界に伝播していきあっと言う間に社会を覆い、その一つの帰結がこのアジア系へのヘイトクライムである。

こういった権力者の差別発言の多くは、権力者が自分の無能を隠すために発せられる。トランプ氏も自分の稚拙なコロナ対応により感染が急速に拡がっため、米国国内の批判が高まりその責任転嫁のため発言している。

安倍晋三政権時代の嫌韓煽動も同様だ。停滞する経済、難航する外交、数多の政治家の汚職、こういった数々の問題から有権者の目をそらすために使われている。

政治家にとっては一時の話題そらし、人気取りかもしれないが、私達の社会が支払うその代償は計り知れない。人類が100年以上かかってたどりついた反差別の歩みを一瞬で退行させる。

「差別」「排斥」はニッポンの娯楽になってしまったのか?(安田 浩一)
3年半前に著書『ネットと愛国』で反知性的なレイシスト集団の正体に迫ったジャーナリスト・安田浩一氏。いま、ヘイトスピーチはなくなるどころか、様々に形を変えて、日常に忍び込むようになった。この国は、差別に呑み込まれてしまうのか。

特定の人種・民族に対するヘイトが危険なのは、巧妙にナショナリズムへと回収されてしまうことだ。

日本でもネトウヨと呼ばれるレイシストたちが、「愛国/売国」、「保守/リベラル」、「右翼/左翼」という文脈で、自分たちが愛国や保守側であるという稚拙なレトリックで様々なヘイトを展開している。

地政学的に共存していくべき他国を口汚く罵り貶め、この国で共に生きる様々なルーツを持つ人々の権利を否定し迫害する人間が愛国を語り、それに反対・抵抗する人々が売国とされるような文脈は欺瞞でしかない。

このような差別主義者の発言に対しては明確にNOと意思を示すことが必要だ。沈黙することは差別に加担していることと変わらない。

なぜならば社会の大半の人々がNOと言うことにより、差別主義者は沈黙せざるを得なくなるからだ。そしてそれを見た子供たちも差別に同意してはいけないということを学んでいく。

諦めずにまずはそこを目指していきたい。

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