伊是名夏子さんのブログ記事について –障害のある方に対する感謝の強要は止めるべき

20210412の記事アイキャッチ 差別

コラムニストの伊是名夏子(いぜな なつこ)さんのブログがネット界隈で話題になっているので、これについて一つ書きておきたい。

伊是名さんは骨が折れやすいという障害をお持ちで、車椅子利用者である。そしてことの発端は伊是名さんのこのブログ記事になる。

JRで車いすは乗車拒否されました : コラムニスト伊是名夏子ブログ
久々の電車の乗車拒否にあいました。 本当に大変でした。クタクタでした。 長いですが、一人でも多くの人が読んでくれ、シェアしてくれると嬉しいです。 ちなみたまたま拒否にあったわけでなく、車いすユーザーだと今の時代にもよくあることです。 だから変えていくため

読んでみて皆さんはどのように感じただろうか。

ネットでは賛否が分かれていたが、否定的な声が圧倒的に多いように感じた。あからさまな差別や中傷は論外としても、伊是名さんが「事前に連絡をしなかった(JR側への配慮がなかった)」「(JR職員への)感謝の言葉がなかった」という声が多いようだ。

この点に関しては自分には明確にこれとは違った意見があるので、それに関しての自分のツイートを引用する。

健常者が当たり前に享受していることを
なぜ障碍を持った方が享受してはいけないのか

感謝を示すのは個人の自由
他者が強要するべきことではない

社会的に弱い立場の人は強い立場の人間に
感謝し続けなければいけないなんて理由はこの世にはない

まず第一に、健常な人と障害を持った人を「平等に扱う」ということは、当人が受ける扱いが同等になるということではなく、「平等な結果を得る」ということである。駅員が障害を持った人を「特別に扱う」ことで、その結果障害を持った人は健常者と同じように目的地に行けると言うだけである。

つまり「平等な結果を得る」ために、健常な人が何も意識せずに公共交通機関を使って目的地に行けるのに対して、障害を持った方にとっては公共交通機関に「特別に扱って」もらわないと行くことができない。

しかしややっこしいのだが、この公共交通機関を使って目的地へ行くという「当然の権利」が「特別なもの」であってははならない。

なぜなら健常者が「当然の権利」として享受している結果である以上、障害を持つ人も「当然の権利」として享受できなくてはいけないからだ。障害をもつ方がJR側に何の配慮をしなくとも享受できるべき権利なのだ。ここが今回伊是名さんが身を挺して問題提起をしているところだと自分は思う。

2 不当な差別的取扱い
(1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方

ア 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。
なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。

引用:障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 (日本障害者リハビリテーション協会)

上記は2015年に閣議決定された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」の中の一文である。このような「特別の措置」はそもそも障害のある方たちを優遇するような扱いではないとしている。伊是名さんを批判している人たちは、まずはこの障害のある方を補助する行為が「特別なもの」ではないことを理解して欲しい。

そして「感謝の言葉がない」という話だが、そもそもの前提として「感謝をする/しない」という行為は、「健常な人/障害を持つ人」に関わらず個人的な判断によって行われるべきことである。何人たりとも他者へ感謝を強要すべきではない。

仮に感謝をすべきだと言うのならば、それは等しく健常者にも言えるだろう。伊是名さんが「特別な措置」を受けたことを理由にして、彼女に感謝を求めてはならない。

 

強いものが弱いものに常に感謝や謝罪を強要する世の中と、弱くてもその弱さを感じずに生きられる世の中。いったいどちらが幸せな社会なのか、心ある人たちは一度考えてみて欲しい。

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