先日録画していたNHKスペシャル「緊迫ミャンマー 市民たちのデジタル・レジスタンス」を観た。緊迫するミャンマーの情勢が伝わってくる映像だったので、時間があればぜひ観て欲しい。
※ 登録すれば誰でも観られると思います
1962年以来ミャンマー(ビルマ)は長きにわたる軍事独裁政権との民主化の闘いの結果、2011年に形式的にではあるが民政化を勝ち取り、2015年に行われた総選挙の結果、アウン・サン・スー・チー氏が代表を務める国民民主連盟 (NLD)が圧倒的な勝利を収めて念願の民主政権を樹立させた。1ミャンマー(Wikipedia)
ミャンマーの人々がやっとの思いで勝ち取った民主主義政権も盤石ではなく、議席の4分の1は国軍が持ち、主力省庁も軍が支配することが憲法に明記されているため、軍の影響が非常に大きく難しい政権運営となった。
更にミャンマーは大きな民族問題も抱えていた。2016年にムスリムの少数民族(ロヒンギャ)に対する軍事的な虐殺を行っており、それを知っていながら黙認したとして、アウン・サン・スー・チー氏は国際的に批判されている。2アウンサンスーチー氏、平和の象徴がジェノサイド裁判へ(BBC NEWS JAPAN)
ミャンマー民主政権とその支持者たちはそういった困難な道を歩みながらも、2020年11月の総選挙で国民民主連盟が議席の8割を占める大勝利を収めたのだが、国軍側はこの選挙を不正選挙であると批判し2021年2月1日に軍事クーデターを起こし、大統領やアウン・サン・スー・チー氏、国民民主連盟の議員たちを拘束した。
冒頭で紹介したNHKスペシャル映像でわかるように、軍事クーデター側は容赦なく民間人を撃ち殺している。その中には子供もいる。そして国際的な非難の声を避けるために、情報操作を行い虐殺行為を正当化しようとしている。
映像のタイトルにある「デジタル・レジスタンス」の活動の一つは、そういった情報操作・歴史の改竄に対する闘いのことである。
このパンデミックの最中に、60年かけて勝ち取ってきたものを失いかけているミャンマーの人々の苦しみは計り知れない。在日ミャンマー人たちもコロナ禍で苦しむの日本の人々を気遣いながら、日本政府にミャンマーの軍事政権を認めない、そして協力しないように強く求めている。
アメリカ、イギリス、カナダなどは軍事政権側と関係の深い企業の資産凍結といった制裁措置をとるなどして強く批難しているが、国連安全保障理事会は軍事政権と関係の深い中国・ロシアの反対もあり、武器の輸出規制などの効果的な対応はできていないのが現状だ。
香港の民主化運動やミャンマーの人々を見ていると、民主主義や人権というものが当たり前に与えられているものではないということを、改めて認識させられる。
世界各地で自分たちの権利を手に入れるために闘っている人たちに呼応し、協力し、できる限りの支援をしつつ、自分たちの今ある権利を大切に守り、次の世代に渡していくことが必要だ。
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