自己責任論の詭弁、「権利と義務はセット」に物申す

20210517の記事アイキャッチ 日本維新の会

何かと話題の梅村みずほ議員(日本維新の会)のTweetを紹介します。

ツッコミどころ満載でどこから突っ込めばいいのやらというところですが、「権利と義務」、「自由と責任」がセットというところを根拠に、後者の「義務」と「責任」を強調していくというのが、日本にはびこる悪しき「自己責任論」の根っこなんだと思います。

この理屈でいくと、納税や勤労の義務を果たしていない人間には、生存権を初めとした、憲法で保障される基本的な権利が認められないということになってしまいます。

嶋﨑量弁護士から早速のツッコミを頂いているようです。

子どもたちが学ぶ道徳の教科書を読んだ上で「子どもたちには、権利には義務が、自由には責任が伴い、人格を磨き上げることがいかに重要であるかを幼い時からしっかりと伝えていきたい」と述べてることと、「「子どもの権利条約」を子どもたち、保護者、教師達が学ぶのが大変重要」と言っている内容との脈絡がよくわかりませんね。

子どもの権利条約が、様々な人たちに読まれ学ばれることには大いに賛成です。ただ子どもの権利条約では基本的に子ども側の権利と、条約の締約国や父母・法定保護者等の義務が示されているものですので、子どもが果たすべき義務などは記されていないです。

子どもの権利条約 全文 | 日本ユニセフ協会
「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」の条約全文をご覧いただけます。

この辺りの文脈を利用して、見事に「権利と義務」を説明していたのが、立憲民主党の枝野幸男代表です。

いや、さすがは弁護士出身の枝野さんです、とても分かりやすい

憲法は国家、政府に対して人権を保障する義務を課しています。
子どもの権利条約は、条約を締約した国や、子どもの保護者に、子供の権利を守る義務を課しています。

憲法上の国民の義務は、権利の対価として課されているわけではありません。この点、よく覚えておくと、昨今の「自己責任論」に飲み込まれずにすむかと思います。

権利は何かの義務を履行する代わりとして与えられるものではない。それを保障すべき正しい理由があるから保障されるものだ。

引用:主張しないと権利失う 視標「憲法施行70年」(47NEWS)

 

現代の日本ではこういったチープな自己責任論で、他者の権利を足蹴にするような言説にあふれていて、自分はこれが日本社会の地盤沈下の大きな要因だと思っています。

そういった詭弁に与せず、他人の権利を最大限に尊重できる優しい社会を目指せればいいなと思っています。

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