格差の是正が企業の武器になる –社会主義者と罵られたCEOの大いなる成果

20210424の記事アイキャッチ 格差社会
従業員の賃上げで「社会主義者」と罵られたCEO、6年後会社の収益は3倍になっていた
自らの年収1億円は削って、従業員並みに。この決断は果たして会社にどんな結果をもたらしたのか。

最近は日本の大企業のサラリーマン経営者でも、億超えの年俸をもらう方は珍しくなくなってきましたが、この記事に書かれているグラビティ社CEOのダン・プライスさんは、自分の億超えの年俸を90%カットして、それを原資にして従業員の報酬を上げたそうです。

でもこの施策を発表した当時は批判ばかりで、ダン・プライスさんは「社会主義者」とまで罵られたそうです(笑
ですがその結果、売上が3倍になり、従業員数が7割増え、子供をもつ従業員数が10倍になり家を買った従業員数も10倍になったとのこと。これはすごいことですね。

ダン・プライスさんに俄然興味がわいたと思うので、彼のTweetをいくつか観ていきましょう。

パンデミックがもたらす経済的な遺産:
パンデミック以前の30年間で、億万長者たちは毎年900億ドルのペースで資産を増やしていた。彼らは去年一年で1.61兆円も資産増やした。貧困が急増する中、それは18年分の富が一気に増えたことになる。

コカ・コーラは10年間で68億ドルを配当と株の買い戻しに使った。最近では労働者の12%を解雇してるのに、CEOには100万ドルのボーナスを出している。CEOの報酬は2年で70%も上がり1,870万ドルになった。コーラは今値上げしているけど、値上げは最低賃金を上げた時だけって聞いていた。

日本の経営者の報酬もかなり上がりましたが、アメリカ企業の経営者の報酬はびっくりするほど高額なので、ダン・プライスさんの意見に多くの賛同が寄せらているようです。

従業員を手厚く処遇することは、長い目で見ればお金の節約なる。例えば、最低賃金が7万ドルの私たちの小さな事業では、今年は3,663件の求人の応募があった –1件の募集に対して280件になる。私たちは広告に1ドルも使ってないが、優秀な候補者を得ました。採用に苦しんでいるという会社の話をよく目にするけど、なぜなのか不思議です。

CEOとして私は徹底的な透明性を信じています。数週間ごとに私たちは全社で会議を開き、そこで自分たちの財務状況を詳細に検討します。これには誰もが質問することができます。会社がどの程度資金を持っているのかを皆が知っていれば、給与や人員数といったことを説明しやすくなります。

彼の経営姿勢で徹底されているのは、「できる限り従業員へ還元する」という強い意志です。子供をつくる人や家を買う人が大きく増えたという話は、単に従業員への報酬が増えたからだけではなく、彼のこういった従業員への想いが、従業員たちに安心感を与えているからではないでしょうか。

また、グラビティ社は人材マーケットで多くの労働者の共感を得られために、広告を出さなくても優秀な人材が集まるようになったそうです。

こういった利益至上主義で経営される会社にはない魅力を武器に、彼の会社は躍進し大きな成果を得られています。

そして日本にも同じように従業員を大切にする経営方針で、結果を出している会社があります。

【伊那食品工業】48期増収増益の「年輪経営」、永続する会社に人は集まる|Glocal Mission Times (グローカルミッションタイムズ)
「かんてんぱぱ」ブランドで知られる寒天メーカー・伊那食品工業。長野県伊那市のアルプスの山間にある約3万坪の敷地内に、本社や研究開発棟がある。働く社員の幸せを一番

伊那食品工業の塚越寛社長(当時)を知ったのは、2012年のカンブリア宮殿で塚越さんが取り上げられたからです。放送の中で「48年連続で増収増益を達成した」と言っていたので、これだけ従業員を大切にしながら本当にすごいことだなと感心したのを覚えています。

無理をして大きな成長を求めるのではなく、できる限り従業員と地域社会に還元しながら、着実な経営を行っていくという経営方針を「年輪経営」と呼んで、それに関する本も書かれています。

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一般的に企業経営では、基本的により多くの利益を出して、株主に還元することが正とされます。経済新聞などでは注目される企業は、皆決算で莫大な利益を計上していますよね。株式会社である以上、これは道理に適っているとは思いますが、この道理自体が正しいかどうかは別の問題です。

利益を増やすこと、特に短期的に利益を増やすことが至上命題とされるため、多くの日本企業は短期的に売上を伸ばす為の販促やマーケティング予算を増やし、逆にコストカットと称して、長期的な研究開発や設備投資といったところを抑制する傾向がみられます。

日本でもっとも顕著だったのが人的資源を「人件費」と呼称して抑制・削減したことでしょうか。コストを削減するために正社員を派遣社員や契約社員といった非正規社員に転換し、人件費の安い国へ仕事の一部をアウトソーシングすることを積極的に進めました。

その結果、法人税減税や金融緩和による円安と株価上昇もあって、大企業自体は内部留保を大きく増やし続けましたが、日本の平均賃金は一切増えず、OECD加盟国の先進国の中では最下位に近いところまで相対的に落ちてしまいました。

ダン・プライスさんや塚越さんのような従業員ファーストな考え方は、日本の行き過ぎた利益至上主義による労働者軽視に対する処方箋足り得ると思うので、こういう会社が他にもどんどん増えてくれることを願っています。

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